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映画批評「ワイルド・スピードMAX」

2009.9.13 映画批評

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公開中の「ワイルド・スピードMAX」。


監督:ジャスティン・リン 脚本:クリス・モーガン 製作:ビン・ディーゼル 出演:ビン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースターほか 上映時間:107分 配給:2009米/東宝東和


「ワイルド・スピード」シリーズといえば、国産車(アメ車)や輸入車(日本車など)をハイレベルにチューンナップ&カスタムしたクルマが、激しいカーチェイスをくり広げる現代カーアクションムービーのけん引者的存在。これまでに、キャストや舞台を微妙にチェンジしながら第3作まで製作されたが、今回は「MAX」と銘打って、シリーズ最大級的な雰囲気をアピール。キャストにもオリジナルメンバーを集結させるなど、ファンの期待を煽っている。


トレーラーの強奪犯として指名手配中のドミニク(ヴィン・ディーゼル)は、ある事件をきっかけに麻薬組織への復讐を誓う。同じころ、FBI捜査官のブライアン(ポール・ウォーカー)も麻薬組織の捜査に乗り出していた。ふたりは、それぞれの目的を達成するために、麻薬組織のボスが主催するストリートレースに参加するが……。


見どころは言うまでもなく、アメリカンマッスルカーやインポートカスタムカーなど、クルマ好き垂涎のCOOLな車両が、サイド・バイ・サイドでしのぎを削り合うカーチェイスだ。封鎖されていない公道でアクセルを踏み込むサマは、リアルな走り屋の脳に大量のドーパミンを分泌させること間違いなし。100回死んでもおかしくない無茶なドライビングの末、無傷で生還するドライバーにゾクゾクする野郎や、惚れ惚れするギャルも少なくないだろう。


冒頭にして迫力MAXレベルとなるタンクローリーの強奪シーンを皮切りに、交通量の激しい街中でのストリートレースや、南米と北米を結ぶ砂漠&秘密ルートでの国境越え追跡劇など、さまざまなシチュエーションでカーチェイスが展開される。だだっ広い砂漠を疾駆するシーンは、一本調子でやや単調だが、そのほかのカーアクションはおおむねスリル満点。ドミニクとブライアンらが、F1ドライバー顔負けのアクセル&ブレーキワークと、卓抜のステアリングさばき、そして、持ち前の度胸のよさで、あり得ないシーンの数々を量産する。


一方、いかんせん盛り上がりに欠けるのがドラマである。闇組織の運び屋も、警察の潜入捜査も、いつかどこかで見た光景の焼き直しにすぎないし、黒幕の存在も想定の範囲内。それ以上に問題なのは、主人公ふたりのバランス関係がよろしくない点だ。この手のコンビは、お互いのあいだに、亀裂や衝突や不和が生じてこそ生きてくるものだが(本格的な衝突は一度だけ)、映画は終始「孤高のヒーロー×2人」という同列なスタンスでふたりを描いていく。主人公を甘やかしたところで、おもしろいドラマが生まれるはずもなかろうに。


ライバルふたりのすったもんだや駆け引きが少ないだけに、結末に訪れる友情のカタルシスも表層の域を出ない。練りに練った脚本があるわけではないのだから、人間関係は、もっと泥臭くさく描いてもよかっただろう。久しぶりのオリジナルキャストを手放しでありがたがってくれるのは、「ワイスピ命!」のコアなファンくらいなものだろうから。



お気に入り点数:60点/100点満点中

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