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「アーサーとミニモイの不思議な国」

2007.9.26

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公開中の「アーサーとミニモイの不思議な国 」を観賞。


監督・製作・脚本:リュック・ベッソン 出演:フレディ・ハイモア、ミア・ファロー、ペニー・バルフォーほか 上映時間:104分 配給:2006仏/アスミック・エース


10歳の少年アーサー(フレディ・ハイモア)は、ある日、自宅の屋根裏部屋で、4年前に失踪した冒険家の祖父が残した地図を見つける。なんと体長2mmのミニモイ族が住む国に宝を隠したというのだ。借金で立ち退きを迫られた家族を救おうと、アーサーが宝探しの冒険に出た!


実写が3割、3Dアニメが7割程度で構成された本作品。実写が割りあてられた物語のプロローグでは、主人公アーサーの人間性が活き活きと描かれており、その後の展開にかなり期待をもたせてくれる。


アーサーは知的で好奇心旺盛な祖父のことを心から尊敬し、なおかつ、(自覚こそしていないものの)自身も祖父に負けず劣らずのアイデアマン&行動派。いつでも発明や発見、そして冒険に心を躍らせている。そんなアーサーが、冒険に出るまでのプロセスから見えてくるものは、アーサーの愛すべき人間性だ(勇敢で心優しい!)。


がしかし、舞台が小人の国・ミニモイに移り、絵がアニメになってからがサイアクだ。冒険活劇ならではの映像はそれなりに楽しめるし、百歩譲って、国王の長女セレニアとの恋物語も悪くはないが、ミニモイという国の素晴らしさがきちんと描かれていないため、話の底がどうも浅い。7つの国がどのようにリンクしあっているのかも判然としないし、妙に被害者じみたセリフを吐く孤高の悪魔との戦いという、イメージだけを先行させたような展開も、実(み)がないうえに、あいまいだ。


ミニモイの国王がテキトーそう(頭わるそう)な人物であることも、物語への興味とミニモイへの感情移入をそいだ大きな元凶であり、アーサーの冒険に同行する国王のおバカ息子の存在も、ユーモアを通り越して、終盤はかなりうっとうしい。にもかかわらず、年が1000歳だの、結婚がどうだのって……もっと本筋に力を注いでくれ!


また、真の勇者にしか抜けない「剣」というのがあるのだが、この剣をアーサーが、ミニモイに来たとたんに軽々と抜いてしまうなど、そのシーンをその後の展開にどう利用したかったのか“?”なシーンも。おまけに、本来であれば36時間というタイムリミットが生み出すはずのスリルもほとんど見られず(アーサーも夜は熟睡……)、都合のいい表面的な設定だけが、ただ漫然とそこにある感じ。


せめて、アーサーを突き動かしていた“財宝を探すため!”という行動理由が、知らず知らずのうちに“愛すべきミニモイ族を守るため!”にシフトしているくらいの展開力があればよかったのだろうが、いかんせんミニモイの国と人に魅力がなさすぎる。


プロローグとエピローグのつながりは違和感なくまとめられているものの、ギクシャクしていたアーサーと両親の関係を完全にスルーするなど、詰めのアマさも露呈。とにかくひとつひとつの設定と行動、そしてキャラクターに深みがないのは大問題である。映像とテンポのよさにノセられて、子供たちはそれなりに楽しめると思うが、おそらく強い記憶としては残ることはないだろう。


実写と3Dアニメの両刀を駆使したリュック・ベッソン作品ということで期待していたが、「レオン」「ニキータ」「フィフス・エレメント」などの作品で描かれていた“人間の純真さ”や“心弱き者の成長&他者との交流”といった、人間の内面を照射するような深く鋭い人間描写が、本作では錆び付いている……どころか、見る影すらないという点についても、重ねて、残念というよりほかない。


アメリカのエンターテインメントに及ばないのは致し方ないにせよ、せめて自国(フランス)色に染め上げるくらいの気概は見せてもらいたかった。


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