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「グミ・チョコレート・パイン」

2007.12.19

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12月22日より公開される「グミ・チョコレート・パイン」の試写。


脚本・監督:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 原作:大槻ケンヂ テーマ曲:電気グルーヴ 出演:石田卓也、黒川芽以、柄本佑、金井勇太、森岡龍、高橋ひとみ、山崎一、犬山イヌコ、山西惇、みのすけ、峯村リエ、浅野和之、中越典子、中直人、鈴木慶一、田中哲司、林和義、山本剛史、内田春菊、ピエール瀧、峯田和伸、マギー、甲本雅裕、大森南朋ほか


筋少(筋肉少女隊)のオオケンこと大槻ケンヂが原作の同名作品を、盟友のケラリーノ・サンドロヴィッチ監督が映画化。


学園モノの青春映画である。であるが、ちょっぴり異色である。なぜかというと、主人公に“オタクなやつら”を取り上げているからだ。なぜ“オタクなやつら”なのか? その答えは、映画を見れば一目瞭然、オタクにも青春はある! というワケである(笑)。


主人公は、クラスでは無口で、周囲にとけ込めずにいる3人組だ。休み時間になると3人は一緒にすごし、実のあるようなないような話を弾ませる。また、放課後は、たまり場の部屋で、親に隠れて酒を飲みながら、レンタルCD屋で借りてきたノイズ系の音楽に酔狂する。ときにエロビデオの話に花を咲かせ、ときになけなしの小遣いで映画を観に行き、ときにリアルにダレかに恋心を抱き、ときに自室でオナニーにいそしみ……、やにわ「バンドを組もう!」と盛り上がる。


なるほど、これは陽の当たる青春ではない。陽の当たらない青春だ。だが、青春であることに変わりはない。


つまり、彼らが“オタクなやつら”かどうかなどということは、こと“青春基準”においては、関係ないということだ。高校球児にとっての白球が、彼らにとっては、たまたまノイズやエロビデオやオナニーや映画だっただけのことである。


彼らが健全な青春謳歌野郎だということは、ふと語られる次のようなセリフにもよく現れている。


<自分だけはほかのやつらとは違うと確認しあう>


青春とはそんなものではないだろうか。スポーツに打ち込む者も、恋愛に、バイトに、勉強に、読書に、演劇に打ち込む者も、どこかで「自分だけはほかのやつらとは違う」という気持ちを持っている。自然発生的であれ、自信のなさの裏返しであれ。


そうした感情を抱えつつ、周囲と自分を比べ、そのつど優越感を覚えたり、劣等感に沈んだりする。そして、不確かな未来に焦りを感じ、ときには、大人たちが敷く安定路線に乗ったり、逆に、そこから飛び降りたりする。混沌としていて、雑然としていて、不安定——。


余談になるが、そんな優劣感や劣等感、あるいは混沌のレベルが落ちてしまうのが、大人になるということなのだろう。それを多くの人は“成長”と呼んだりもするのだけれども。


主人公の賢三(石田卓也)が決定的な場面で、思いを寄せる女性への告白を逃すシーンがある。いや、逃したのではなく、逃げたともいえるシーンだ。彼女にきっかけまで投げてもらった千載一遇のチャンスで、彼はみすみすその幸運にサヨナラを告げる。このすかしっぷりの見ごとさを青春と言わずになんと言おう。そしてきっと多くの人が、そんな信じられない「悔い」のひとつやふたつを青春時代に残しながら、大人への階段をのぼっていくのだろう。


本作の素晴しさは、主人公たちが、<自分だけはほかのやつらとは違うと確認しあう>という自信を確信に変えようと行動を起こすシーンを描くだけではなく、前述したように、行動を起こせなかった「悔い」についても、真摯かつ公平に描写している点にある。


と同時に、ことあるごとに21年後の彼らの姿をオーバーラップさせることにより、青春がその後の未来にもたらす作用や反作用についての検証を試みている。


だが、結局のところ、青春がどう未来に作用するかなんてことはダレにも語れないし、ましてや断定などできない、というのが結論だ。輝く青春もあれば、輝きの鈍い青春もある。でも輝きの鈍い青春に価値がないかといえば、そうともいえない。もっと言うならば、青春の価値という言葉自体にウソ臭さがあるともいえる。


青春は、青春である。上下も、優劣もない。主人公に“オタクなやつら”を選んだことが、この結論における最大の説得力として機能しているところが、実に軽妙である。


青春ならではのほとばしる欲望やいら立ちや情熱やコンプレックス(総じて“うずき”とでも言おうか)——。思春期をすごす多くの若者が抱えるそうした感情を、ちょっぴり変わった視点から描いたのが本作「グミ・チョコレート・パイン」である。


全編にわたり、ユーモアを交えた演出がとられている点は、(ユーモアの方向性を含めて)かなり好みが分かれると思われるが、青春の甘酸っぱさと、そんな彼らのビターな未来を描いた青春映画としては、それなりに楽しめる。


まあ、基本的にはうだつのあがらない“センズリ青春期”である。


青春、バンザイ、だ。


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投稿者日本インターネット映画大賞:2007年12月23日 14:28




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