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No.39「ペイ・フォワード【可能の王国】」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.39  2008.12.2発行 

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2000年/アメリカ 「ペイ・フォワード【可能の王国】」より


主人公は、中学1年生のトリバー少年。


学校の授業で出された課題は、
「世の中を良くするためには何をしたらいい?」
というものだった。


トレバーは、
ひとつのアイデアを思いつく。
<ペイ・フォワード>。
それは、“人から受けた親切を別の人へ回す”
というものだった。


トレバーは黒板に図を書いた。
1人が、3人の人間に親切な行いをし、
それぞれ親切を受けた人間が
さらにまた別の3人に、
親切な行いをするという図を。


この計画を実践してから数ヶ月後、
トレバーのもとに、
ひとりの記者がたずねてくる。
トレバーが考案した<ペイ・フォワード>は、
いつしか、地元のラスベガスをはなれ、
遠くロサンゼルスにまで広がっていたのだ。
記者はそのルーツをさかのぼり、
最後にトレバーにたどりついたのである。


テレビカメラを前に、
トレバーはインタビューを受ける。


トレバーは、
<ペイ・フォワード>のエピソードのひとつとして、
アル中だった自分の母親が、
祖母と仲直りしたことを例に挙げた。
母親が試みた<ペイ・フォワード>は、
“嫌っていた祖母を許す”というものだった。


    「ママは勇気があった」


と、トレバーは母親を褒めたたえた。


一方でトレバーは、
<ペイ・フォワード>をすることの難しさについても、
素直な気持ちを語った——


☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


    「でも……なかにはとても臆病な人たちもいる。
     変化が怖いんだ。
     本当は世界は……
     思ったほど……
     クソじゃない。
     だけど、日々の暮らしに慣れ切った人たちは、
     よくないことも、なかなか変えられない。
     だから、あきらめる……。
     でも、あきらめたら——負けなんだ」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆★☆


シンプルに物事を考え、
人のためになることを、
粘り強く、優しさをもって実践していく。
そうすれば、世の中はきっとよくなる。
少年トレバーは、そう信じている。


ただ、多くの人間は、
大人になるにつれて、
シンプルな思考と行動を手放し、
問題を複雑にしてしまう。
自分たちの勝手な思い込みによって。


強欲、悪意、偏見、自意識、憎悪……、
問題を複雑化させる因子はさまざまだろう。


気づいたときには、
人に親切になれない、
あるいは、
親切になろうとしても、
勇気をふり絞ることのできない
自分になっているのだ。


    「日々の暮らしに慣れ切った人たちは、
     よくないことも、なかなか変えられない」


勇気なき者たちに、
トレバーは、そう苦言を呈す。


人に親切になれない、
あるいは、
勇気をふり絞ることのできない人間から脱却するためには、
とにかくシンプルに物事を考えることだ。


シンプルな思考は、
その人から、物事を複雑化させている因子
(強欲、悪意、偏見、自意識、憎悪……等)を取り除き、
物事の核心をとらえる目を養ってくれる。


核心が見えたら、
あとは、その核心に背かないように、
優しさと勇気を持って、
行動するだけでいい。
あきらめずに。
粘り強く。
そうすれば、
状況(世界)は、少しずつ変わっていくだろう。


物事をシンプルに考え、
親切心と勇気を持ち、
あきらめなければ、


    「世界は……
     思ったほど……
     クソじゃない」


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●編集後記             
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

この映画の味わいは、
なかなか文章では表現しきれません。
ひとりの少年が、
世の中を良くするために何ができるかを本気で考え、
それを実践していきます。
現実の壁に跳ね返されながらも、
強い意志をもって、
体当たりをくり返します。
特筆すべきは、彼の善意が自己満足な押し付けではなく、
その人の身になって物事を考えている点です。


こう書いただけでは、
単なる美談かと思う人もいるかもしれませんが、
本作「ペイ・フォワード【可能の王国】」は、
物語をハッピーエンドでは終わらせていません。


衝撃的なクライマックスが、
この世の不条理を浮き上がらせ、
スクリーンの空気を一瞬にして暗転させるのです。


でも、その真っ暗闇のなかに、
トレバーが生み落とした善意が、
希望の光となって現れるのです。
次から次へと。
間断なく。


哀しみと希望をオーバーラップさせながら、
物語は静かに幕を下ろします。
あまりの余韻の深さに、
しばらく恍惚となる人もいるでしょう。


「善意」というものを、
「弱さ」というものを、
「暴力」というものを、
そして、「希望」というものを、
考えさせられずにはいられません。


オススメの1本です。


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■銀幕をさまよう名言集! No.39「ペイ・フォワード【可能の王国】」


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発行者  :山口拓朗


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