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「コルテオ」

2009.4.5

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原宿の新ビッグトップで行われているシルク・ドゥ・ソレイユ「コルテオ」の日本公演を観劇。


きらびやかなシャンデリアとたわむれるように上空でアクロバットを披露する数人の女性アーティスト……。華やかなこのパフォーマンスからスタートする「コルテオ」は、肉体で美を創造する極上のエンターテインメントだ。中世ヨーロッパの世界観をモチーフにした舞台上で、世界中から選りすぐられたアーティストが躍動し、現実と夢の境界線上にある幻想空間へと観客を誘う。舞台美術や小物、衣裳、メイク、照明などのビジュアル、それに世界各地の民族音楽のエッセンスを取り入れた音楽も魅力にあふれている。


綿密な計算の上に成り立つスーパーアクロバットの数々は、アイデアの結晶と呼ぶにふさわしく、伝統的な日本のサーカスに慣れ親しんできた多くの観客を驚愕させる。人間の運動能力の極致ともいえる超絶の世界。冷静に彼ら(アーティストたち)が私たちと同じ人間であるという事実に思い至るとき、大きな感動がこみ上げ、心の底から勇気づけられる。


演劇の舞台にアクロバットを絡めた「バウンシング・ベッド」(トランポリンのベッドでぴょ〜ん)と「ティーターボード」(シーソーでぴょ〜ん)の空中芸は、子供から大人までが楽しめるおすすめメニュー。また、円が描く軌道が美意識をつつく「シル・ホイール」(金属素材のホイールを使った回転芸)や、演者の秩序ある呼吸の一致が驚嘆を誘う「ツアーニク」(多人数鉄棒芸)も、本作「コルテオ」の目玉アクロバットだ。磨き抜かれたテクニックとタイミングにいちいち痺れる。これらの美技を支えているのは、圧倒的な練習量と集中力、それに卓抜のコミュニケーション能力にほかなるまい。わずか2時間半の演目を作り上げるのに要した労力はいかばかりか……。


『ロミオとジュリエット』の劇中劇がしっちゃかめっちゃかになる寸劇「テアトロ・インティモ」や、サーカスの伝統芸を用いつつ万国共通のユーモアをふりまく「リトル・ホース」など、アクロバットの合間に挟まれる小気味よいパフォーマンスでは、観客からリズムよく笑いを引き出し、高ぶる気持ちをしばし鎮静させる。絶妙な緩急。なかでも特筆すべきは、客席と舞台がキャッチボールをする「ヘリウム・ダンス」の楽しさだ。ヘリウムバルンを腰につけた小さなクラウネスの存在は、国境も差別もない“理想の地球像”をイメージさせる。


情熱的で、クリエイティブで、繊細で、パワフルで、知的で、なおかつユーモアにあふれるシルク・ドゥ・ソレイユの「コルテオ」は、驚きという領域を超えて、見る者に興奮と快感を与える必見のエンターテインメント、いや、躍動する芸術だ。人間の愛と可能性の大きさをまざまざと見せつけられたとき、「コルテオ」という演目の真の偉大さに気づかされる。挑戦は新たな挑戦を呼び、愛は人を通じて増幅する。演目の続きは、観客一人ひとりの人生に委ねられているのだ。

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