感動フリーライター・山口拓朗 映画批評

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歌舞伎さよなら公演/九月大歌舞伎

2009.9.25

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銀座の歌舞伎座で「歌舞伎さよなら公演/九月大歌舞伎(夜の部)」を観劇。


一、浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)

「鞘當」     
             不破伴左衛門  松緑
             名古屋山三  染五郎
             茶屋女お京  芝雀


 舞台は桜が満開の吉原仲之町。稲妻模様をあしらった着物の不破伴左衛門(松緑)と、濡れ燕模様をあしらった着物の名古屋山三(染五郎)。伊達姿を披露するふたりの「渡り台詞(一連の台詞を数人で分担して順々に言い、最後の一句を全員で言う演出)」や、両人のケンカを止めに割って入った茶屋女房(芝雀)の啖呵が見どころ。


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「鈴ヶ森」    
             幡随院長兵衛  吉右衛門
             白井権八  梅玉


 東海道品川宿に近い刑場の鈴ヶ森。剣術に優れた美少年の権八(梅玉)と、権八の命を付けねらう雲助との立ち回りでは、目が利かない夜という設定を活かしたユーモアあふれる演出をふんだんに取り入れている。最後に現れる幡随院長兵衛(吉右衛門)の、権八に対する義侠心あふれる計らいも粋だ。


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二、七代目松本幸四郎没後六十年

「歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)」

             武蔵坊弁慶  幸四郎
             源義経  染五郎
             富樫左衛門  吉右衛門


 「歌舞伎十八番」のひとつ。今回は、松本幸四郎の祖父で、生涯で1600回演じたという七世幸四郎の没後60年にちなんでの上演。舞台は加賀国安宅の関。“白紙勧進帳の読み上げ”や“山伏問答”など、東大寺の勧進僧になりすます弁慶(幸四郎)による気合満点の長台詞が圧巻。同じく弁慶の、大杯での豪快な飲みっぷりや、酔いにまかせて披露する堂々たる“延年の舞”も見どころだ。
 主君の義経(染五郎)を思う弁慶、弁慶の機知に感謝する義経、義経と弁慶の固い主従関係に感銘を受ける関守の富樫(吉右衛門)……。彼ら3人が示すのは、日本人好みな忠義と男伊達だ。弁慶が幕切れの花道で見せる「飛び六方(勢いよく足を踏み鳴らしながら花道を引っ込む退場方法)」に劇場中が拍手喝采!


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三、松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく)

「吉祥院お土砂」
「櫓のお七」   
             紅屋長兵衛  吉右衛門
             八百屋お七  福助
             小姓吉三郎  錦之助


 紅長こと紅屋長兵衛(吉右衛門)の娘・八百屋お七(福助)の吉三郎(錦之助)に対する一途な愛を描いた作品。お七の恋を手助けしようと紅長らが東奔西走する様子を描いた「吉祥院お土砂」は、ユーモアあふれる台詞や演出を随所に織り交ぜた笑劇。設定をぶち壊すパロディ風味な笑いを含め、吉右衛門のコメディセンスが光る。
 一転、続く「櫓のお七」では、お七に扮する福助が指先まで神経を行き届かせた「人形振り(演者が人形芝居の人形の動きをまねて踊る演技)」の美しい所作が目を引く。しんしんと降り続く白い雪の美しさも忘れがたい。

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